お散歩の基本

犬が散歩を嫌がる・歩かない・座りこむ 理由の見分け方と、病院に行く目安

散歩に行きたがらない、途中で座りこんで動かない。理由はたいてい「体のどこかがつらい」「こわい」「その場の気持ち」のどれかです。急に始まったなら、まず体を疑ってください。引っぱらずにできることと、動物病院に行く目安を獣医師の目線でまとめました。

この記事のポイント

  • 理由は大きく3つ。体のどこかがつらい、こわい、その場の気持ち(疲れた・帰りたくない・もっと嗅ぎたい)。
  • 「急に」嫌がりはじめたら、まず痛みや暑さ寒さなど体のことを疑う。
  • 引っぱって歩かせない。立ち止まって、待って、向きを変える。抱っこで帰ってもいい。
  • 足をつかない、触ると痛がる、暑い日にハァハァして座りこむ、は動物病院へ。

この記事は一般的な情報です。犬の体の状態は、年齢や犬種、持病などによって一頭ずつ違います。気になる症状があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。

飼い主さん

最近、お散歩の途中で座りこんで動かなくなるんです。わがままなのかな、と思って引っぱってしまうこともあって、、、

獣医師

困りますよね。でも引っぱる前に、ちょっとだけ「なんで止まったのかな」を一緒に考えてみませんか。

犬がお散歩を嫌がる、途中で歩かなくなる理由は、たいてい次の3つのどれかです。

体のどこかがつらい。こわい。その場の気持ち(疲れた、帰りたくない、もっと嗅いでいたい)。

「前は喜んで歩いていたのに、急に」なら、まず体のことを疑ってください。わがままに見えて、実は痛い、ということがよくあるんです。

急に始まったのか、前からなのか

最初に考えてほしいのは、これです。

急に嫌がるようになった。歩き方も、なんとなくいつもと違う。それなら、体のどこかに理由があることを先に考えます。

前から、決まった場所や時間で嫌がる。それなら、こわいものがあるか、その場の気持ちのことが多いです。

お散歩の時間や天気、嫌がった場所をメモしておくと、どちらなのかが見えてきますよ。

靴に小石が入ったら、私たちも止まる

歩いていて、靴の中に小石が入ったときのことを思い出してください。

立ち止まりますよね。急ぎたくても、もう同じようには歩けません。でも犬は「靴に石が入った」と言葉で言えない。だから、止まる、座る、帰ろうとする。それが犬の伝え方です。

まずは、その小石を探してあげてください。

  • 肉球と指の間(とげ、ガラス、小石、草の種)
  • 爪が割れていないか
  • 地面が熱すぎないか、冷たすぎないか
  • 首輪やハーネスがこすれて、赤くなっていないか

夏のアスファルトは、人が思うよりずっと熱くなります。手のひらで地面をさわって、手を当てていられないほど熱いなら、犬の足にも熱すぎます。

外からは見えない小石もある

足先に何もないのに歩かない。そんなときは、関節や背中など、体の中の痛みも考えます。

米国動物病院協会(AAHA)は、犬の痛みのサインとして、すべる床を歩きたがらない、階段の前で止まる、走ったり跳んだりしなくなる、なでられたりブラッシングされたりするのを嫌がる、といった変化をあげています。

「年のせいかな」と思っていた変化が、実は痛みのサインだった、ということもあります。

こわいときのサイン

外の音や車、ほかの犬、工事の音。こわくて歩けない子もいます。

米国の動物愛護団体ASPCAは、こわがっているサインとして、体を低くする、壁ぎわに寄る、音にびくっとする、ふるえる、歩かない、息が荒い、大好きなおやつを食べない、などをあげています。

とくに、いつものおやつを食べないのは、わかりやすいサインです。それくらい、いっぱいいっぱいなんですね。

こわがっている子にできることは、たとえばこんなことです。

  1. 人や車の少ない時間に出る(早朝や、夜の静かな時間)
  2. 家のすぐ近くを、短く
  3. こわいものが見えたら、距離をとる。向きを変える
  4. 落ち着いていられたら、小さなおやつ
  5. それでもふるえるなら、その日は帰る

ASPCAも、嫌がる子のリードを引っぱらないこと、急に慣らそうとすると、かえってこわさが強くなることを書いています。

引っぱって歩かせるのは、こわさを増やすだけです。 ここは言い切っておきますね。

こわがり方が強いときや、なかなか良くならないときは、行動の専門の獣医師やトレーナーに相談するのも一つの方法です。

道のまん中で座りこむとき

体もどこも痛くなさそう、こわいものもない。それでも座りこむ。

そんなときは、「疲れた」「この先に行きたくない(帰りたくない)」「ここのにおいをもっと嗅ぎたい」のどれかのことが多いです。

まずは、引っぱらずに少しだけ待ってみてください。においを嗅いで満足したら、自分から歩きだす子も多いです。

それでも動かなければ、行きたい方向を変えてみる。家の方向にだけ歩く子なら、今日はもう十分ということかもしれません。抱っこで帰っても、まったくかまいませんよ。

毎回同じ場所で止まるなら、その先に何があるかを見てみてください。吠える犬のいる家、大きな音のする場所、前にこわい思いをした所。犬はよく覚えています。

子犬と、シニアの場合

子犬は、外の世界そのものがまだこわい時期です。歩かないのは、ふつうのこと。抱っこで外の音や景色に慣れるところから始めます。「子犬のお散歩デビューはいつから?」も参考にしてください。

シニアの犬は、歩く距離が少しずつ短くなるのは自然なことです。ただ、急に短くなった、歩き方が変わった、というときは、年のせいと決めつけずに、一度動物病院で診てもらってください。

少し歩いただけで息が上がる、すぐ座りこむようになった、というときは、心臓のことも考えます。心臓病のしくみは、獣医師のブログの心臓病ってなに?理解するためにプールで考えてみようで書いています。疲れやすくて歯ぐきの色が白っぽいときは、貧血のこともあります(犬・猫の貧血とは?歯ぐきが白いとき体で起きていること)。

動物病院に行く目安

次のような様子があれば、お散歩の工夫より先に、動物病院で診てもらってください。

  • 片足をつかない、かばって歩く
  • 触ると痛がる、鳴く、怒る
  • 背中を丸めてじっとしている
  • 元気や食欲もない
  • ふるえが続く
  • 歩き方がふらふらする

それから、暑い日に、ハァハァと息が荒いまま座りこんで動かないときは、熱中症のことがあります。日かげに移して、体を冷やしながら、すぐ動物病院に連絡してください。

嫌がった日を、メモしておく

時間、天気、気温、歩いた道、どこで止まったか。

何日か分を並べてみると、暑い日の昼だけ、この道に入るときだけ、と理由がふっと見えてくることがあります。動物病院でも、その記録がそのまま役に立ちます。

歩かない理由は、本当にその子しだいです。わがまま、と決めつける前に、一度その子の小石を探してあげてくださいね。気になることがあれば、かかりつけの先生に相談してください。

よくある質問

いつも同じ場所で座りこみます。病気ですか?

同じ場所で毎回、なら、その先に苦手なもの(大きな音、工事、吠える犬など)があるか、そこから先に行きたくない・もっとここにいたい、という気持ちのことが多いです。歩き方がおかしい、ほかの場所でも止まる、元気がない、などが重なるなら、一度動物病院で診てもらってください。

おやつで釣って歩かせてもいいですか?

こわがっている子に、少しずつ慣れてもらうためのごほうびとしてなら、おすすめです。ただ、痛みが理由のときは、おやつで歩かせると無理をさせてしまいます。まず体の理由がないかを確かめてからにしてください。

家を出た瞬間から嫌がります。

玄関から先がこわい、首輪やハーネスがきつい・こすれる、外が暑い・寒い、などが考えられます。リードやハーネスを手に取ったら、ごほうびをあげる練習を家の中でするのも、外が苦手な子には役に立ちます。

参考にした資料

  1. Fear of the OutdoorsASPCA(2026年10月14日確認)
  2. 15 Signs of Pain in Dogs(PDF)AAHA(米国動物病院協会)(2026年10月14日確認)

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